「ご縁」の有難みがわからない人

ずいぶん前に私の相談所で婚活をしていた男性(30代後半)は、

若くして起業して、成功されていました。

ずっとがむしゃらに働いてきた彼は、金銭的なものはすべて

手に入れ、あとは結婚して子供がたくさんいる家庭を望む

ようになったのです。


当然の動機として始まった彼の婚活。

起業家らしく目標設定していて、6カ月以内に結婚する!

と、私だけではなくあちこちに言っていたようです。


ところが、なかなかどうして、彼の婚活は難航しました。

というのは、彼の女性に対する理想が高いのが原因の一つ。

彼好みの美人で、家庭的で、お料理はヘルシー指向、

彼の話を何でも聞いてくれてなどと、のたまうではないですか。

このような人間の美点をすべて集めたような人が果たして

いるのか、、、、私は首を傾げたものです。


案の定、お見合いすれど、まったくうまくいかず。

なぜなら、彼は仕事を通して培ってきた鋭敏な勘を持っていて、

どんな美人と会っていても、少し話しただけで「あっ、この人違う・・・・」

と、感じてしまうからです。


そういうふうになると、お見合いに身が入るわけありません。

顔にこそ出ないのですが、その場を早く切り上げたい気持ちは、

相手に伝わるものです。

現に、お相手からもよくお断りされていました。


私が彼の婚活を見ていて感じたことは、「目に前にいる人と、

この場を楽しもう」という気持ちが見えなかったことです。

一言で表現するならば、「ご縁の有難みがわからない人」。


これがビジネスだったら、ああすれば、こうなる・・・・・・の図式が

ある程度明確なんだと思います。

しかし、婚活というのは「ご縁」の要素が大きいため、これが通じない。

この不思議な「ご縁」の存在を意識しないと、なかなかうまく

いかないものなのです。

彼は婚活にすぐに嫌気がさしてしまって、いつの間にか

遠ざかってしまいました。


あれから、10年以上経ちますが、彼は今頃どうしているかなと、

ふと思い出します。

温かい家庭を持っていたらいいなぁ。


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