逃した彼は、望み通りの人だった・・・。

以前私の結婚相談所で婚活していた女性(30代後半)の

絶対譲れない条件が、年収でした。

かれこれ10年以上前の話ですが、その頃は年収4桁の男性が今より

多くいた時代でした。

彼女曰く「この年まで待ったんだから、この条件は譲れない」と。


そんな彼女に、婚活パーティで意気投合した男性が現れました。

「今まで会った男性の中で最高」と彼女は上機嫌です。

彼も彼女のことを気に入って、彼女さえよければすぐにでも

プロポーズをする勢い。


ところが、彼女は彼の腕の中に飛び込めませんでした。

とどのつまり、彼女の思うような年収じゃなかったってこと。

しかし、世間一般から見れば、決して贅沢は出来ないかも

しれないけれど、十分やっていける金額です。


それなのに、彼女はどうしてもそこのところが気になるようで、

彼とお付き合いしながら、またお見合いを開始しました。


彼女がどうして年収、年収と言うのかというと、

・独身の今より、生活レベルが落ちるのが気になる

・幼い頃、父親の会社が倒産して、母親がお金のことで苦労していた

・自分はそれだけの価値がある女性であること

 (彼女は自信がありました)

などです。


そんな彼女に私は、こう言いました。

「愛する人と一緒にいられて、人生を共に歩んでいける事に比べたら、

お金ってどれだけの価値があるのかって?」。


しかし、肝心の彼女は私が何を言おうが、彼一人に絞る気配なしです。

当然のごとく、それが彼に伝わってしまいました。

彼にしてみれば、なんだかんだと理由をつけられ、土日に

会えない彼女に、自分は脈なしなんだ・・・と思うでしょうに。


それから、数か月が経ちました。

そこにビッグニュースが!

彼のご成婚が決まったとのことです。

実は、です。

彼のご両親は地元の長者番付の常連で、結婚が決まったら

現在住んでいる豪邸は彼に譲り、自分たちはケア付きのマンションに

移ることが既に決まっていました。


彼が勤めているのは、お父様のグループ会社。

今は一社員として働いていたため、年収が年相応だったわけ。

何年後かには、その会社の社長になるのでしょう。


結局、彼は彼女の望み通りの人だったのです。

パーティで意気投合した時感じた「この人が好き!」って直観で動けば

よかったのですが、皆が皆、そうはいきませんよね。

彼女はそれを選択しなかったのですから。


仲人の私はこれらのことを知っていましたが、「ご成婚が決まる

までは決して言ってくれるな」と口止めされていたのです。

なぜなら、彼は今は修行中の身なのに、お金があると思われる

のが嫌だったからだそう。

今の頑張っている自分を好きになってくれる人と一緒になりたかったと。


しばらくの間、私の胸中は複雑でしたよ。

彼女もそうだったでしょうが・・・。



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