「褒めるということ」

本日は、ビジネスのお話です。


最近、ビジネス本でも 「部下を褒めて伸ばそう!」 というのが


増えてきましたね。 



私もやはり人を伸ばすには、


「褒める」 ことがとても大事だと思います。



そのことを実感したエピソードがありますので、


ちょっと聞いてください。



昔の話になりますが、私はある商社に


勤めていました。


部署の人数は20名くらいで、人間関係も和気合い合いとした、


非常に居心地の良い職場でした。


この中から何組かのカップルが生まれたりも


したほどです。



この部署を統率していたのが、佐藤課長(仮名)でした。


課長は、仕事ができる上に、偉ぶったところがなく、


みんなから慕われていました。


その上、人を褒めるのがとても上手い方でした。



たとえば、男性には、


「〇○君、この企画案よかったよ。


 経費を○%節減できる素晴らしい案だ」


「君のプレゼン、先方の担当者が褒めていたよ。


 なかなかやるね」 と。



一方、女性に対しては、


「君たちが、毎日残業してくれているおかげで、


 このプロジェクトが完成したよ。ありがとう」


「○○さんの気働きのおかげで、気持ちよく仕事ができるよ。


 いつもありがとう」 と。



褒められるともちろん嬉しいですし、


ますますやる気にもなりましたが、


男性の中には、大喜びのあまり 「課長にずっとついていく」 と


熱く語った人もいたくらいでした。



以前あるセミナーで、


男性には 「結果」 を女性には 「プロセス」 を


褒めるといいと聞いたことがありましたが、


課長の褒め方はまさにそうでした。



しかし、なぜこういう褒め方をすると効果的なのでしょうか?



これはそのセミナーで聞いた話ですが、


昔、男性は狩りをしていて、


家族に食料を持って帰れるかどうかが


最大の関心事でした。


つまり、「結果」 がすべてというわけです。



一方、女性は、夫を支え、子供たちを育て、


周りの人間関係に気を遣って、


家族が快適に過ごせるように気を配っていました。



こういった生活の中では、


結果ではなく、日々の積み重ねが大事だったわけです。



つまり、私たち現代人は、文明の進歩発展によって、


意識も大きく変わったと思っていますが、


それは誤りで、男女の根本的な部分では、


私たちの祖先の獲得したものから


ほとんど変化していないというのです。



だから、男女でそういう褒め方をすると


効果があるとのことでした。



こういう考えがあるのかと驚いたのを今も鮮明に


覚えているほど、私には大変興味深い話でした。



この話を聞いてしばらくしてから、男女の違いを書いた


『話を聞かない男、地図が読めない女』(アラン・ピーズ+バーバラ・ピーズ著)


が、ベストセラーになりました。



この本がベストセラーになるのもわかるような気がします。



課長には、いろいろ教えていただき


何十年も経った今でも本当に感謝しています。



ときどき懐かしくあの当時を思い出します。

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