「男と女のタイミング」

10代の頃から仲良しの私の友人には、有名国立大学の理系の


彼がいました。 


何でも、お互いの母親同士が親しくて、それがご縁で知り合ったとの


ことでした。


彼は、小学校から高校までずっと男子校。


大学も学部はほとんど男だらけ。



彼と初めて会ったときの私の印象は、何とまぁ地味~な人。


服装は、今でいうならユニクロ系だろうか・・・。



友人曰く、「惹かれたのは外見ではなく中身。頭がいいし、


ジミーすぎて浮気の心配が全くないからね」 と


ケラケラ笑いながら言ったのを私は覚えています。



でも、この彼、よく見ると、鼻の形とかあごの線とかがきれい。


だから、横顔がイケているのです。


この方は、自分のパーツの良さには全く気が付いていないのでした。



その後、彼は大学院を無事終了して、化粧品メーカーの開発部門に


就職が決まりました。



この会社は、新入社員には短期の工場勤務と営業を経験してから


部署に配属をされることになっていました。



地方の工場勤務のときに、彼は慣れない環境で相当心細かった


らしく、すぐに結婚しよう と彼女にプロポーズしてきたといいます。


しかし、彼女はもう少しOL生活を楽しんでから彼との結婚を


考えていたそうです。



さて、さて、彼が晴れて工場勤務を終えて本社勤務になったところ


からがこのお話の本番です。



まず、大手化粧品メーカーの営業は、相手は女性ばかりですよね。



世間ずれしていなくて、純情で前途有望な彼を並みいるお姉さま方が


ほおっておくはずがありません。



案の定、アチコチからアタックされるようになったのでした。



彼としては、今までの人生でこんな経験をしたことがない!



大体、この手の男性は、自分が女性にモテるとか、モテようと


思って生きていないわけです。



その時の彼の気持ちを私が察すると、多分こんな感じでしょう。



女性に無縁の自分が、母親のお陰で今の彼女と付き合うことができた。


いままで、彼女一途に生きてきた。



ところが、どうだろう。 違う世界があったのだ。 こんな華やかな世界が!



あれっ、俺って、もしかして・・・・ もしかして・・ モテてるの???



いままで、女性に対して無欲に生きてきた自分に、


こ~~んなキラキラした世界があったんだ。



そして、舞い上がっていく。



と、こんな感じでしょうかねぇ。



そして、一年後、3歳年上のおねえさまと職場結婚。



友人は相当ショックを受けたのですが、こればかりは


ご縁がなかったとしか言いようがない・・・。



ちなみに、彼女は現在は3人の子供の母親でもう孫が一人います。



今、『あきらめること あきらめてはいけないこと』(ゴードン・リヴィングストン著)


を読んでいるのですが、


その中の一節に、


「ほかの誰でもないその人を選ぶときの 「相性」 なるものは、


 あとになって振り返ってみると、二つの魂が強く惹きあった運命の


 出会いだったというよりも、タイミング、性欲、希望が


 ちょうどうまく合ったというだけのことが多い」 と。



運命の出逢いはもちろんあるのですが、男と女が結ばれるときには、


「いろいろなタイミングがぴったり合う」 ということがやはり大きいのでは


ないでしょうか。



これが 「ご縁」 ということなのでしょう。

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