女性の方々からよくこんな不満を聞くことがあります。
どんな不満かというと、
彼に自分の仕事の愚痴を言ったら、
説教されてしまったということです。
彼の言うことは、ごもっともで反論の余地はなかったが、
話を聞いてもらえたときのスッキリとした感じがなく、
何だかドンヨリとしてきて、
怒りさえ感じてきた、とこんな具合です。
ここでちょっと私の話を聞いてください。
当時付き合っていた彼は頭脳明晰な人でした。
算数大嫌い人間の私が、
彼の理系の論理的な物の見方に
自分にないものを感じ、
惹かれるようになりました。
私は、彼と会うたびにいろいろなことを
話すのが何よりの楽しみでした。
あるとき、仕事の愚痴や職場の人間関係の不満
などを話ました。
当時、私は貿易関係の会社に勤めていましたが、
仕事がマンネリ化してきて面白くなく、
上司に 「もっと違う仕事をやらせてほしい」
と、直訴してもそれが受け入れられることは
ありませんでした。
その鬱積している不満やら愚痴やらを、気を許している
彼の前でぶちまけたのですが、
返ってきた答えは、
・今は仕事の基礎を学ぶべし
・上司の立場というものを考えるべし
・人間関係はどこにいってもついてまわる
・少々のことは我慢すべし
と、こんな具合でした。
そのとき私は、「あれ、あれっ、これって家の頑固父さん
に言われたことと同じことを言っているよ」
まさか、自分の彼から、父親と同じ 「訓示」 を
述べられるとは思ってもみなかった私。
本当の私の気持ちは、
「わかるよ。その気持ち」 と一言が欲しかったのに。
愚痴を一緒に聞いてもらってスッキリしたかっただけなのに・・・。
私の気持ちなんてこの人はどうでもいいんだ。
そんなことに気づかずに目の前の彼は、
ペラペラとよく話す、話す。 正論を。
表情を見ると、まるで自己陶酔しているみたい。
そして、トドメの一言。
「大体、君にはこれっていうものが何もないじゃない。
何か勉強しているって様子でもないしね」 と。
ガ~~ン!!
ずいぶんと痛いところを突いてくれるではないか!
失望が怒りへと変わり、
「この男とは、もう話してもムダ。ムダ」
「結婚なんてしようものなら何か事あるごとに、
上から目線で説教され支配される」
と、恐れを感じた私は、一方的に別れを告げたのでした。
このことを知った父と母からは、
「こんないいご縁はそうそうないのに・・・」
と追い打ちをかけるようなことを言われましたが、
私の気持ちが変わることはありませんでした。
このような苦い経験を持つ私が、
「原因は男と女の共感力の違いにある」
ということを知ったのは、ずっと後になってからの
ことでした。
女性にとっての相談とは、
多くの場合、相手に 「共感」 を求める
ことが多いのです。
必ずしも 「答え」 を求めているのではなく、
・一緒に話している時間の共有
・私のこの気持ちを聞いてほしい
・私のこの気持ちをわかってほしい
という意味があるのです。
一方、男性は会話をすればするほど
冷静になり、分析的になっていく傾向があります。
知識や情報を照らし合わせて、
「答え」 を導き出そうとします。
つまり、
会話=相談 に 「共感」 を求める女性
相談=結論 を求める男性
との違いです。
けっこう大きな男女の違いだと思いませんか?
もちろん、すべての男女がこういう傾向にある
わけではないことは言うまでもありません。
男性の皆さんは、
女性から相談を受けたり、愚痴を聞いたりしたら、
まず気持ちに共感して、
「大変だったね」
「ヒドイよ。その上司」
「俺だって我慢できないよ」
と、まずこういう儀式が必要だということを
覚えておいていただけたらと思います。
その後で、解決案を話したのなら、
また会話の流れが違ってくるはずです。
男女のこういう違いを知るということは、
2人がうまくいく秘訣なのですから。
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